真空管 その5 二極管の話

過日「2極真空管より3極真空管のほうが先に発明された」などとウソの記事を投稿してしまいました。
慎んでお詫びして修正いたします。
このブログは昔の思い出話を書いています。
従って中学時代に先生からそう教わったと思い込んでいることの中にはこういう間違いを含んだ話が結構紛れ込んでいます。
私だけではありません。
かつて日本のコンピュータ開発の歴史の中で世界的に有名なある大天才がいました。
その人がある論文に書いた中に間違いがあります。
そのころに私のお客様先へその技術を応用した製品を納品したことがありました。
当然その製品はあらぬときに粗相をしでかしました。
大勢の技術要員がとっかえひっかえお客様先へ来ました。
私は針のムシロに座らせられている気分でした。
おおぜいでいろいろ調べた結果、どうも大天才の論文を基にした設計に問題があるとしか思えませんでした。
そしてそれを違う方式にしてみたら、あっというまに解決しました。
そんなことは珍しくもないのでお客様へ平身低頭してそこから頑張って納期をぎりぎり守り、無事機械を稼働させました。
(もちろん私は担当者ではありましたが、私が手を出せるようなものではなかったので、おろおろしていただけでしたが)
その技術的問題点と解決させた喜びは後日投稿いたします。
(あ、私の功績ではありませんから威張って書けることでもありませんけどね)
 というわけで正しくは3極真空管よりも2極管のほうが2年くらい先に世の中に出ていたようです。
タイタニック号が無線通信で世界初のSOS信号を発したと何かの本で読んだことはありますが、あの時には無線通信機の検波回路には2極真空管が用いられていたのだそうです。
なんで2極管が検波回路に使えるかという話はあとでちゃんと図で示して書きますが、きょうはそこまではいきません。
ディカプリオ様ファンのみなさんごめんなさい。
検波回路の話の大前提をきょうは書きます。
 手描き図のいちばん上と真ん中の丸い記号は2極真空管のシンボルマークです。
入力側は商用電源の100ボルトなのでトランスのコイルもいっぱいぐるぐる巻いてあるように描きました。
真空管に近いほうはたったの5ボルトですから少しだけ捲いてあるように描きました。
100ボルトと5ボルトなんですからもっと巻き数に差が無ければへんですが、そこはそれ勘弁してください。
陰極側のカソードは電熱で熱せられます。
そして熱電子が飛び出します。
はい3極管で書いた話と同じです。
そして飛び出した熱電子は陽極(プレート)へそのまんま飛んでいきます。
そして陽極にキャッチされて回路をぐるりと回ってきます。
 さて2極管は(陽極と陰極の関係が)陽極が陰極に対してプラスになったときだけ陰極からの電子を受け取ります。
電子の流れる方向と電流の方向は逆だとされていますからいちばん上の図のぐるりと回っている矢印は陽極から陰極へ流れる電流の方向を示しています。
回路の4隅にA,B,C,Dと名前をつけました。
まず、AB端子にトランスの二次側巻き線からの電気が来ます。
交流の電気ですから図ではAがプラスBがマイナスと書き込みましたけど、これはプラスとマイナスがしょっちゅう入れ替わります。
図の次の瞬間はAがマイナスでBがプラスになり、その次の瞬間はまたひっくりかえってAがプラスに戻りBがマイナスになり・・・・くんずほぐてつの行き来がはじまります。
行き来と言ったのは電気の方向が変わるからそう言っただけです。
そして真空管のA側がプラスのときだけ真空管内の電気は流れます。
まずはこれが基本です。
明日は、この図の抵抗器のところへコンデンサをつないで利用する方法を紹介します。

 さて下のほうのグラフをご覧ください。
このグラフはふたつの意味を表しています。
ひとつは陽極電圧を挙げていくとその電圧の2ぶんの3乗に比例してどんどん電流が増えていくという事実です。
ところが陰極の温度がある温度になると、そこから先は(電圧の2ぶんの3乗に比例して電流が増えるのではなくて)電流が増える状況をガクっと鈍らせて電流がめっきり増えなくなるという現象を紹介しています。
これを2極管の「温度で威厳電流領域」と言います。
このあたりの話は実はものすごく難しい理論があります。
そこまで書き始めると、このブログは電子計算機の開発歴史を遺すという役割からはずれてしまいます。
だからここではやめておきます。 すみません。

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