真空管その4_3極真空管の普通の増幅のパラメーター

 図の真ん中は前回の3極真空管(回路図に書き込むときのシンボル絵)に電流や電圧の名前を書き込んだものです。
上のグラフは真空管の陰極から飛び出した電子が陽極へと素直に到達しないようにするアミに電圧をかけて、そして上げていくと途中で電流量が停滞しはじめて、もっと電圧を挙げてみると、やがて急上昇しはじめる様子を描いたものです。
 下の2つのグラフは左側のグラフは横軸はアミ電圧(またの名をグリッド電圧。Egと略すのが普通。単位はボルト)、縦軸が陽極電流(またの名をプレート電流。Ipと略すのが普通。単位はミリアンペア)それぞれ左から陽極電圧(またの名をプレート電圧。Epと略すのが普通。単位はボルト)300V、250V、200V、150Vのときの観測実験結果のグラフ描画をノートに書いたものをテキトーに書写したものです。
全く正確性を無視しています。「まぁこんな感じのグラフですね」みたいな例です。
右側のグラフの横軸は陽極電圧(またの名をプレート電圧。Epと略すのが普通。単位はボルト)、縦軸は陽極電流(またの名をプレート電流。Ipと略すのが普通。単位はミリアンペア)左からアミ電圧(Eg)0V、―6V、-10Vの例です。
 グラフの名について左側を「三極管のEg-Ip静特性」、右側を「三極管のEp-Ip静特性」と呼びます。
昭和30年代に日本の公立中学へ通っていた、または通ったことがある人なら全員が知っているとても有名なグラフです。
このグラフは中学校の理科の時間に「真空管増幅回路」で習ったのでした。
そして技術家庭科の授業で全員がラジオを作りました。
3球ラジオだったか、5球スーパーだったか、はたまたゲルマニウムラジオだったか記憶がありません。(この3つはずいぶん違いますよね)
憶えているのはFEN放送が良く聞こえたことです。
電界強度が強いですからね。 いまはFENではなくAFNと言うのですね。
東京や三沢や岩国や沖縄にお住まいのかたなら(特に英語の勉強をなさっているかたなら)ラジオ番組表でAFNを見て全て英語の放送をお聞きですよね。

昔、FEN時代は英語の発音聴き取りをこのラジオ局を聞いて鍛えていたかたが多かったのです。
私はこのラジオ局があったアメリカ人の街代々木のワシントンハイツが近かったため、よくこのラジオを聴いていました。

 3極真空管の重要な静特性グラフの解説を続けます。
下左のアミ電圧・陽極電流静特性とは「アミの電圧を制御することで陽極電流を制御する」ことができることを表しています。
 最初に書いたアミ電圧を挙げていって陽極電夏を上回ると急激にアミ電流が増える理由はアミ電圧が陽極電圧を上回った点から、それまで陰極から陽極にばかり向かっていた電子の流れがアミに向きを変えてしまうからです。
この3つの特性グラフからもわかりますが、3極真空管の普通の使い方は「陽極には正の電圧をかけて電流を流しますがアミには負の電圧をかけて電流を流さないようにしておくとアミの電流は0になり、電圧だけで陽極電流をコントロールできることの利用法です。
 陽極電圧(Ep)とアミ電圧(Eg),陰極で発生する電荷をQ、陽極と陰極の間の静電容量をCp,アミと陰極の間の静電容量をCgとします。
静電法則によって Q=Cp×Ep+Cg×Eg です。
CgとCpの割合をμとします。(μ=Cg/Cp)
μは必ずμ>1。
これを3行上の式に代入しますと
Q=Cp(Eg+Ep/μ)です。
この形は(話が前後してしまいますけど)2極真空管の電圧に陽極・陰極間の容量を加えたものと同じです。
ここでいう「容量」とは静電容量のことです。単位はファラドです。
経過時間をtとしますと陽極電流Ip=dQ/dtですから、2極真空管での2ぶんの3乗法則がなりたちます。
2極真空管で電流が立ち上がってゆく過程での2分の3乗法則ですね。
あれはI=G×Eの2分の3乗でしたね。
(Gはパーヴィアンスという真空管の構造や寸法で決まる定数です)
3極真空管の場合の2分の3乗法則は
Ip=G(Eg+Ep/μ)^3/2
アミ電圧をΔEgだけ増やして陽極電圧をΔEpだけ減らしても陽極電流がかわらなければG(Eg+Ep/μ)の2分の3乗=G{Eg+ΔEg+{Ep-ΔVg+(Ep―ΔEp)/μ}の2分の3乗。
ΔEp=μΔEpでありμを計算するなら
μ=ΔEp/ΔEg(陽極電流Ip一定とします)
なのでμを真空管の増幅率と言います。
手描きの図で左下のグラフの傾きをgmとします。
gm=ΔIp/ΔEgで「真空管の相互コンダクタンス」と言います。
(陽極電圧Ep一定とします)
またΔEp/ΔIpを陽極内部抵抗といいRpで表します。
これは下側右のグラフの勾配を表します。
このμとgmとRpを3極管の3定数とよばれます。
gm=μ/Rp の関係になっています。
アミ電圧を変えると特性グラフの勾配が変化するためRpとgmは変わりますがμは真空管の陽極・陰極間の容量とアミ・陰極間の容量の比ですから真空管の構造の寸法で決まってしまっています。一定です。
先ほどの2分の3乗法則の式Ip=G(Eg+Ep/μ)^3/2で左辺のIpが0になるようにしますとEg=-Ep/μです。(Gはパーヴィエンスという真空管の構造寸法で決まってしまう定数ですからね。これは先ほど書いた通りです)
これを「格子遮断電圧」と言います。アミは格子ともいうのです。グリッドとも言います。

ということは3極真空管はスイッチにも使えるというわけです。
ちなみに格子遮断電圧を英語ではGrid cutoff voltageというそうです。デジタルコンピュータに真空管が使われていたころは有名な用語だったのではないでしょうか。
(私は真空管を利用したコンピュータを作ったことも、使ったこともありませんからこれはテキトーな話です。すみません)

次回は2極真空管と4極真空管などの多極管のことをちょこっと書いて、そのあとは直流増幅回路という不思議な増幅回路のことを書きます。
実はぜんぜん不思議ではないのですが、この73年間ずっと振幅増幅を普通の増幅だと思っていた私には不思議でした。
2極真空管の検波機能の話はゲルマニウムラジオのところやデジタルコンピュータの初期のアーキテクチャの話のところでまた蒸し返します。
アナログコンピュータのプログラミングの話も書きたいし、どこかのタイミングでデジタルコンピュータのアーキテクチャのことも書きたいし、このブログはブログであって本ではないので、学校で習った順序をまるで無視しています。
本にするときにはちゃんと後先順序を考えて普通のコンピュータの歴史を語る読み物にありがちな順序に整えるつもりです。(たぶん・・・ですけど)

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